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交通事故はこれで防げる!



 交通事故がなかなか減らない。
 ここでは、タクシー運転者の新任講習の講師からの、「プロ中のプロ」の極意を教えます。

 事故は、絶対に無くなりません。それは、我々が人間であるからです。
逆に言えば、「私は、絶対に事故を起こしません!」という根拠のない精神論も、また、絵にかいた餅にすぎません。
でも、事故に遭う確率を減らすことはできます。また、万が一の事故であっても、被害を軽減させることもできます。

 アメリカ連邦航空局FAA、NASA、などは、事故は起きるものだという前提に、システム開発人材育成(訓練)を行っています。
まずは、事故は必ず起きるもので、私が起こす可能性もあるという事を、謙虚に受け止めることが前提となります。
そして、その起こる可能性のある事故を、いかに未然に防止するか、また、いかに被害を最小限にとどめるかを考えることが大切です。

これが、アクティブ・セーフティーパッシブ・セーフティーという考え方です。

アクティブ・セーフティーとは

 積極的危険回避といいます。
機械でいえば、追突防止装置、横滑り防止装置、ABS、4WDなど、事故が起きにくくするための装置です。
そして、運転操作という面では、事故を起こしにくい操作。という事になります。俗に言う、急の付く運転をしないとか、ゆっくり走るとか。

パッシブ・セーフティーとは

 万が一、事故を起こしてしまった際、被害を最小限にとどめる受動的危険回避を指します。
機械でいえば、衝撃吸収バンパー、エアバッグ、シートベルト等、衝撃を弱める物などの装置が多いです。
そして、運転操作という面では、いわゆる「逆ハンドル」、瞬間的な急ハンドル、思いッきりのフルブレーキングなどです。

事故はこれで防げる2つのポイント!

1)運転姿勢

 ラリー競技など、公道で超高速でタイムを競うレーサーは、まず、一番にこの事を学びます。
 人間は、脊椎動物で唯一、二本足で立って行動する動物です。そのため、脊椎(背骨)を軸に左右に回転できるように、体の構造が出来ています。座位の場合は、背筋を床面に対し垂直にすると、首や体が左右に回しやすくなります。斜めに寝そべって、左右を見ようとすると、首も回りにくく、また、瞬時に縦横感覚が鈍くなります。(人間の目が、地面に対して左右平行に置かれていることも影響します)

 ラリー競技は、一般道路の上で、高速に走る競技です。道路上の浮砂利、陥没穴や、見通しのきかないコーナーなど、危険がいっぱいあります。これらの情報を、瞬時に目で見て判断するための基本は、運転姿勢です。競技用の車両の座席は、首筋が床面に対して垂直になるように作られていて、たとえ左右に車が揺れても、体が動かないように、がっちりとホールドされます。
 これは、レース場で競技する、GT500や、F1といった、レーシングカーであっても同じです。ただ、これらのレーシングカーは、クローズドサーキットで道幅も広く、コーナーの曲率も大きいかなり安全な路面を走る代り、速度は200km/hを軽く超えるという、既に人間の動態能力を超えた速度域で競技します。そのため、レーシングカーの風圧に対する構造が求められ、腰から下は、かなり寝たようなシートとなります。それでも、首筋は、床面に対し垂直になるように、曲げられています。もっとも、200km/hを超える速度で、首を動かすのは危険です。これは、縦横の感覚を保つためと言われています。

 ラリー競技のレーサーは、道路上の石や穴を全て見ています。それを考慮しながら、見えないコーナーへ突っ込んでいきます。そして、運転操作によるミスや、機械の故障を除けば、まず、事故はありません。
 それがアクティブセーフティー、その基礎中の基礎が、運転姿勢です。
 また、万が一のアクシデントの際、的確な判断をし、ハンドル、アクセル、ブレーキなどを巧みにコントロールするための基礎基本でもあります。
 これが、パッシブセーフティー

 つまり、正しい運転姿勢は、アクティブセーフティー、パッシブセーフティー、両面に効果が高い基本中の基本です。
そして、多くのドライバーさんは、このことを知ってか知らずか、たいていの車のシートは、後ろに下がって、背もたれもリクライニングしています。ハンドル操作も、片手であったり、逆手を使ったり。そして、誰もが口にします。「大丈夫、これで今まで事故が無いから!

 皆さんが、本当に事故に遭いたくなければ、自分で決めて実行して下さい。最初は窮屈ですが、じきに慣れます。


2)一旦停止

 皆さんは、一旦停止の標識がある道路に、一旦停止箇所を示す白線があるのを、意識していますか?
 私が街中を見ていて、この停止線手前で確実に車両の動きを止めているドライバーをまず見ることはありません。
なぜでしょうか?

 これは、まず、なぜここに停車しなければならないか、考えましょう。
それは、「道路交通法で、定められているから」です。安全だから止まらなくて良いという判断をしたとしても、法律は認めていません。よく、一旦停止不履行で、警察官ともめている光景を見ますね。
では、なぜ、法律に定められているからでしょう?
答えは単純です。危険だからです。過去においても、交通事故の大半がここで起きているからです。

 では、なぜ、皆さんが、ここで止まらないのか考えて見ましょう。
急いでいるとかいう事もありますが、それ以上に、「そんなとこに止まっても、左右の安全が確認できないから」だと思います。左右の安全が確認できないところに止まって、「安全確認」の意味をなさないから、「止まるなら、停止線を少し過ぎた当たり、左右が見えるところで止まる」と思っているからだと思います。

 ここで、もう一度振り返りましょう。
 停止線の位置では、安全確認ができない。という事は、安全か危険かが分からないまま、車を動かしているという事。

 なぜ、停止線は、交差点から離れた位置にあるのでしょうか?

 それは、前方の交差点の左右から、自動車、バイク、自転車、子供、いつ何が飛び込んでくるか分からないから、仮にそれらが急に入り込んできても、相手側にブレーキを踏むなり、ハンドルで進入方向を変えるなり、それなりの危険回避行動ができるだけの余裕を持たせているのです。つまり、運転しているあなたではなく、それを知らずに突っ込んでくるかもしれない相手の動きを予想して、より安全な場所に止まるように設計されています。
相手側は、パッシブセーフティーゾーン。そして、こちらは、アクティブセーフティーゾーンということです。
このあるか無いかわからない危険に対して、積極的に回避行動を取る。この操作運転に対する心の姿勢。これこそが、安全運転の為の行動の基本だと思います。

 さて、一旦停止箇所に確実に停止したあと、どうすれば良いでしょうか?
左右の安全が確認できていない、超危険な状態です。おそるおそる、最徐行で車を前させるしかないでしょう。間違っても、アクセルポンッでは無いですよね。
そして、左右の確認ができる位置まで車両を前進させます。
 左右の確認はどうやりますか? そもそも、左右の安全確認がやりにくい位置に、この標識があるのですから、確実に、顔と目を動かしてしっかりと安全を確認する必要がありますよね。
首を横に振って、目も横を見ている時、正面とその反対方向を見ることはできません。この瞬間も、何も分からない状況です。車が動いていると、動体視力が下がり、相手が動いているか止まっているかの判断が鈍ります。
ここは、確実に車を止める。この行動を、2度停止3度停止といいます。
人間の能力はさほど高くありません。自分が動いていて、周りの動いたり止まったりしている障害を認識するには、タイムラグが発生します。
多くの事故は、このタイムラグの最中に起きます。右を見て、安全確認をしている時、左でぐしゃっと。何?何が起きたの?

確実に、車両を停止させてから、安全確認を行いましょう。

 もうひとつ、確実に停止するメリットがあります。
 内燃機関のエンジンは、急に回転数を上げることはできません。燃料を多く入れても、必要な酸素が吸引されないからです。ガスタービンエンジンなどは、燃料と同時に酸素を送り込むため、一気に加速します。ジェットエンジンが代表例ですね。一方、電気自動車は、一気に加速します。アメリカの実験では、フェラーリなどのスポーツカーよりも、電気自動車の方が加速は早いということが実証されています。
 それはともかく、普通のガソリンエンジンに乗っていれば、止まった状態から、アクセルを思いっきり踏んでも、走り出すのに、若干のタイムラグがあります。これを、仮に、エンジンの回転を上げておいて、一気にギアをつないだらどうなるか。タイヤを鳴らしながらロケットの様に飛び出します。

 ここです。ある程度、回転軸トルクがあると、次の爆発に備えてより多くの酸素を吸引する力が働き、急加速できるのです。
逆に言えば、アイドリング状態ではなく、わずかにアクセルを踏んだ状態で、一気に踏めば、急発進します。

 一旦停止箇所に止まり、安全確認の為、2度停止した際、うっかり安全確認が不確実な状態でアクセルを踏んだと仮定します。
確実に、アイドリングまでエンジンを落としていれば、あっ、と思って急ブレーキで、止まります。しかし、わずかに動いた状態でアクセルオンしていると、急ブレーキを踏んでも、止まりません。トルクがかかっているため、ちょっと踏んだ程度ではタイヤの回転を止めれません。

 自転車が急に飛び出してきても、止まらないのです

 交差点などで、急に自転車が自分の前を横切ろうとしたという状況で、確実に止まれるのは、一旦停止の際、確実にエンジンの回転をアイドリングまで落とし、完全に停止した後の発進でしかありません。
ここは、まさに、パッシブセーフティーです。

 アクティブセーフティーと、パッシブセーフティー、両面の備え。これがあなたを助けます。

細かないろいろな方法があります。
でも一番重要なこの2ポイント

これで確実に事故に遭う確率を大幅に低減できます。

 
あえて、長い文にしました。事故防止は簡単ではありません。本人の本気度によって左右されます。
また、それなりに、ちゃんとした理由があるのです。ちゃんと理解していて、ちゃんと実行する。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。